・歩いて楽しい木のまちなみをつくる
東日本大震災で甚大な被害を受けた矢吹町。我々は震災後から四年間地域の方々や専門家と恊働し、「復興まちづくりプラン」を町に提案した。これは内陸被災地だから可能な、中心市街地をまちなか居住の場とする計画で、新しい復興計画のベースとなった。一区自治会館は「歩いて楽しいまち」を実現する、新たな復興計画のモデルとなる建築を目指した。対面する復興公営住宅と外装の色と素材を合わせ、一帯を新しい木造の景観を一体的に形成する「景観モデル地区」と位置づけ、将来的な景観整備への布石とした。

・居場所としてのまちキッチン
建物の中心には、普段時は住民のたまり場として、災害時は炊出場として機能する「まちキッチン」を設置した。

・木とスチールによる軽やかなハイブリッド構造
シェルペンスキーのフラクタル三角形に着想を得て、ユニットの組立てを繰り返すことで1辺10mの大屋根を架けられるシェルペンスキー・トラスを開発。垂直荷重に対し圧縮のかかる斜材に木材を、引張のかかる底辺材にスチールを使うことで、部材断面を抑えた。上り梁の断面が大きくなり頂部の納まりが面倒になる通常の方形屋根と異なり、頂部は各ユニット頂部と同様の簡易な納まりとなっている。

敷地|福島県西白河郡矢吹町
竣工|2016.07
用途|集会場
構造|木造
階数|地上2階
延床面積|423.85㎡

プロジェクトチーム
設計|ヌーブ*
構造設計|MID研究所
設備設計|エム設備設計事務所
照明設計|ぼんぼり光環境計画
施工|伸和建設
写真|淺川敏