Category: ARCHITECTURE

四日市市中心市街地立体駐車場建替計画

老朽化により耐震改修もしくは建替えが望まれる立体駐車場の将来計画。新型コロナウイルスの感染拡大が懸念されるなかでの検討となったが、屋根付きのオープンスペースという空間特性をもつ立体駐車場の、地域コミュニティ施設としての可能性を認識する機会となった。 現駐車場利用者や地域住民へのアンケート調査や先進事例調査等から、駐車場機能だけでなく、特にグランドレベルにおいて街に開いたカフェやショップを入れるなど、複合施設として計画した。フラット型を採用して見通しを確保しつつ、上層階では吹き抜けを利用したイベントスペースや、屋上には街を見返す視点場となる空間を設けるなど、ウォーカブルな都市を目指すにふさわしい、地域交流の拠点として計画した。 敷地|三重県四日市市計画検討|2020.09-2021.01用途|駐車場構造|S造階数|地上5階延床面積|7,500㎡ プロジェクトチーム設計|ishau委員会運営|四日市諏訪商店街振興組合

長崎のアトリエの改修*

「長崎の住宅」と同じ敷地に、1933年に建てられたアトリエの改修。昭和初期から戦前に豊島区長崎周辺で形成された「アトリエ村」の影響を受けているもので、彫刻のアトリエらしく、作品搬出用の扉の設置や北側採光の確保が施されており、その文化的な価値の高さから、着工前の2019年10月に豊島区登録有形文化財に認定された。 この歴史的建造物の改修にあたって、アトリエが使われていた当時の温度感を残すため、内装の仕上げはほぼクリーニングと建具の取替えのみとしつつ、外装では元々つながっていた母屋をかたち取るように、目地を切り、他の面と同じ杉板下見板貼りとした。さらに、母屋の廊下に面していた開口部はガラスで覆うなど、当時の記憶を保存する手立てを幾らか施している。 敷地|東京都豊島区竣工|2020.06用途|アトリエ構造|木造階数|地上1階延床面積|34.8㎡ プロジェクトチーム設計|ヌーブ*施工|幹建設写真|太田拓実

長崎の住宅*

彫刻家の祖父・父をもつ家族の個人住宅。 施主の父の作品「花」や「切り込まれた形」に着想を得て、直方体上面の4つの頂点に対して、4つの異なる直方体を噛み合わせることで、適度に分節しながらも、緩やかに繋がる内部空間の関係性を考えた。動線の先に必ず窓を設置し、屋外の彫刻作品、紅葉、隣接するアトリエ棟などを絵のように切り取るように見せ、限られた空間の中でも屋外の要素と視覚的につながる豊かな空間体験を試みている。また、特徴的なファサードをもつ外壁では、板金屋と共にリブ付横葺きを独自開発。マッシブなヴォリュームに対して、異なるピッチをもったリブが軽やかなリズムを与えている。 敷地|東京都豊島区竣工|2019.08用途|個人住宅構造|木造階数|地上2階延床面積|95.2㎡ プロジェクトチーム設計|ヌーブ*構造設計|MID研究所施工|幹建設写真|太田拓実

矢吹町一区自治会館*

・歩いて楽しい木のまちなみをつくる東日本大震災で甚大な被害を受けた矢吹町。我々は震災後から四年間地域の方々や専門家と恊働し、「復興まちづくりプラン」を町に提案した。これは内陸被災地だから可能な、中心市街地をまちなか居住の場とする計画で、新しい復興計画のベースとなった。一区自治会館は「歩いて楽しいまち」を実現する、新たな復興計画のモデルとなる建築を目指した。対面する復興公営住宅と外装の色と素材を合わせ、一帯を新しい木造の景観を一体的に形成する「景観モデル地区」と位置づけ、将来的な景観整備への布石とした。 ・居場所としてのまちキッチン建物の中心には、普段時は住民のたまり場として、災害時は炊出場として機能する「まちキッチン」を設置した。 ・木とスチールによる軽やかなハイブリッド構造シェルペンスキーのフラクタル三角形に着想を得て、ユニットの組立てを繰り返すことで1辺10mの大屋根を架けられるシェルペンスキー・トラスを開発。垂直荷重に対し圧縮のかかる斜材に木材を、引張のかかる底辺材にスチールを使うことで、部材断面を抑えた。上り梁の断面が大きくなり頂部の納まりが面倒になる通常の方形屋根と異なり、頂部は各ユニット頂部と同様の簡易な納まりとなっている。 敷地|福島県西白河郡矢吹町竣工|2016.07用途|集会場構造|木造階数|地上2階延床面積|423.85㎡ プロジェクトチーム設計|ヌーブ*構造設計|MID研究所設備設計|エム設備設計事務所照明設計|ぼんぼり光環境計画施工|伸和建設写真|淺川敏